
個性という幻想 (講談社学術文庫)
ハリー・スタック・サリヴァン and 阿部大樹
講談社 / 2022-10-13
この本について
人と関わる場面で、相手に対して過剰に身構えたり、逆に自分でも理由がよく分からない反応をしてしまうことってありますよね。僕も「これは性格の問題なのか?」と考えてはモヤモヤするタイプです。でも最近は、その捉え方自体がちょっとズレていたのかもしれないと思うようになりました。 『個性という幻想』は、まさにそのズレを静かにほどいてくれる本でした。サリヴァンは、人の振る舞いを「個性」ではなく、「これまでどんな対人の場で生きてきたか」によって説明しようとします。たとえば誰かを目の前にしたとき、そこには相手本人だけでなく、過去の人間関係から派生した“仮想の相手”まで一緒に場に入り込んでくる。自分の反応が読めないとき、その背景にはこういう“場の力学”が働いている、という視点はかなり現実的で、腑に落ちやすいものでした。 面白いのは、この本が「人を診る」のではなく、「人が置かれている場を診る」態度を一貫しているところです。偏見は学びを妨げること、文化や言語と切り離された瞬間に人は急速に鈍ってしまうこと、そして不安の正体は“多数の不承認の記憶”であることなど、読んでいると自分の行動の説明が静かに書き換わっていく感じがします。 人間関係で繰り返すクセにうんざりしている人、あるいは「自分とは何か」の答えがずっと曖昧なままの人には、とても刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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