
重力と恩寵 (岩波文庫)
シモーヌ ヴェイユ and 冨原 眞弓
この本について
最近、自分の感情が重すぎると感じたり、誰かの苦しみを前にしてうまく距離が取れなかったりしませんか。助けたい気持ちと、自分の余裕のなさのあいだで揺れ続ける感じ。過去や未来ばかり気にして、いま目の前の現実に触れられなくなるときの息苦しさ。僕もよくそこで足が止まります。 シモーヌ・ヴェイユの『重力と恩寵』は、その行き場のない重さに対して、無理に明るい答えを押しつける本ではありません。むしろ「人は簡単に他者の痛みに溺れるし、自分の想像で真空を埋めようとしてしまう」という前提を静かに置いてくれます。そのうえで、過去や未来への期待をいったん脇に置き、「いまの自分が受けとっている痛みや願いを、そのままの形で見つめる」という視点を示してくれる。苦しみを消すのではなく、変容させるしかないと教えてくれる感覚に近いです。 個人的に刺さったのは、人に優しくされる理由を「性格」でも「好意」でもなく、「正義の要請に応えたいから」と見る視点でした。これだけで、誰かの親切に必要以上の意味を読み込んで空回りする癖が、少しやわらぎました。あと、自分が不幸なときに不幸を直視するには「超自然の糧」がいるという言葉も、弱さに蓋をしなくていいと思わせてくれます。 派手な希望を求めている人には向きませんが、「いま抱えている重さを、少しだけ正しく扱えるようになりたい人」には、とても静かに効いてくる本だと思います。
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ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
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