
音楽は自由にする(新潮文庫)
坂本龍一
新潮社 / 2023-04-19
この本について
仕事でも人間関係でも、どうしようもない出来事にぶつかったとき「自分は何を拠りどころにすればいいんだろう」と立ち止まることがあります。言葉にするほどでもないけれど、心の奥でずっとざらついている感覚。そんなときに坂本龍一の『音楽は自由にする』を読むと、少しだけ視界が開けるようなところがあります。 この本は、音楽論というより「ひとりの人間が世界をどう受け止めてきたか」という記録に近いです。たとえば、身近な人を失ったときに感じるどうにもならない距離感や、個人的な体験が表現に乗せられると別の存在に変わってしまう戸惑い。それを避けずに書いてくれているので、自分の中にも似た気持ちがあったことに気づかされます。また、何かを作るときに自由だけでは動けなくなること、むしろ制約や他者の存在が新しい道を開くことも率直に語られていて、行き詰まったときの考え直しの材料になります。 世界の出来事に巻き込まれたときの恐怖や、文化の光と影への視線も印象的で、「物事をひとつの面だけで見なくていい」と肩の力が抜けました。 こんな人に刺さると思います。自分の感じ方に自信が持てず、でもどこかで言語化したいと思っている人。 読み終わったあと、自分の中の静かな部分にそっと手を添えられたような感覚が残る本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの44%が集中しています。
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