
ソーシャルジャスティス 小児精神科医、社会を診る (文春新書)
内田 舞
文藝春秋 / 2023-04-20
この本について
最近、誰かの発言に過剰に反応してしまったり、自分の感情の出どころがよくわからないまま疲れていく感じがありませんか。僕も同じで、気付くと「相手の意図」より「自分の中の前提」に振り回されてしまうことがあります。 この本が助かったのは、感情に押し切られそうなときに一度立ち止まって「再評価」するという視点を、現実の場面と結びつけて語ってくれているところです。子どもとのやり取りや、社会の分断、無意識の偏見など、一見まったく違う問題が「自分の心の動き」とつながっていることが腑に落ちました。また、努力しても結果が報われない局面でも、「馬から降りない」ように少しずつ続ける意味を、過剰に励まさず淡々と示してくれるところが心に残ります。 もう一つよかったのは、「勘」と「エンパシー」は派手な才能ではなく、経験を積み重ねることで育つと書かれていた点です。誰かを急いで裁くより、相手の背景を想像する余白を持つ。その小さな姿勢が、日々のしんどさと社会のギスギスの両方をやわらげていくのかもしれません。 他人の声に自分の声がかき消されがちな人、感情に振り回されやすい人には、静かに効いてくる本だと思います。
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