
ヨモツイクサ
知念実希人
双葉社
この本について
最近、ニュースを見ても身の回りのことを考えても、「自分の知らないところで何が起きているんだろう」と妙な不安がじわっと残ることがあります。分からないまま放置すると余計に想像だけが膨らんでしまうし、かといって現実の厳しさを真正面から受け止めるのも少し怖い。そんなときに手に取ったのが、知念実希人さんの『ヨモツイクサ』でした。 この作品に出てくるエキノコックスの描写や、救急と警察が交錯する現場の細かい動きは、ただの恐怖ではなく、「世界はこういう仕組みで動いているんだ」と視界をひらいてくれる感覚があります。自分が普段ぼんやり抱えている漠然とした不安が、曖昧な影ではなく、具体的な事象として輪郭を持ちはじめる。そのおかげで、怖さはありながらも、無力感だけが残るわけじゃないところが、この本の面白いところだと思います。 さらに、登場人物が事件に向き合う姿を追っていると、「自分だったらどう動くか」を自然と考えさせられます。過度に勇気を求められるわけでもなく、ただ目の前の事実をどう受け止めていくかという地道な姿勢が描かれていて、そこに救われる人は多いはずです。 現実の理不尽さにモヤモヤしつつも、知らないままでいるのは落ち着かない人に刺さる一冊だと思います。
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