
ハイデガーの哲学 『存在と時間』から後期の思索まで (講談社現代新書)
轟孝夫
講談社 / 2023-06-22
この本について
仕事でも生活でも、「なんでこんな状況に巻き込まれているんだろう」「自分の判断ってどこまで自分の意思なんだろう」とふと立ち止まる瞬間があります。考えようとしても、どうにも掴みどころがなくて、言葉にできないまま流されていく感じ。僕自身もよくこのモヤモヤに沈みます。 この本を読んで助かったのは、ハイデガーが「状況が勝手に立ち上がって、こちらを規定してくる」という視点を用意してくれるところでした。自分の理性や意思よりも先に、特定の“場所”や“時‐空間”がこちらを包み込んでいる、という考え方に触れると、今の環境に振り回されている感じが少し冷静に見えるようになります。また、「真理=出来事そのもの」という説明も、日々の判断が“正しいかどうか”よりも、“いま起きている状況が何を見せているのか”に注意を向ける手がかりになりました。そして、人間を「存在の生起の場」と捉える発想は、主体性を増やすよりも、まず自分が立っている場を理解するほうが先だという気づきにつながります。 自分の状況がなぜこうなっているのかを丁寧に知りたい人、あるいは「環境に左右されすぎている気がする」と感じている人に刺さる本です。哲学の専門的なテーマを扱いながらも、日常の見え方が少しずつ変わるような読み方ができました。こちら側の悩みを無理に片づけようとせず、ただ状況を見るための角度をひとつ増やしてくれる、そんな一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの36%が集中しています。
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