
いま批評は存在できるのか
三宅香帆, 森脇透青, 松田樹, 大澤聡, 東浩紀, and 植田将暉
この本について
仕事に追われていると、考えるための余白がどんどん削られていく感覚があります。自分の意見を持ちたいのに、気づけば周りの空気や既存の物差しに合わせてしまう。批評って必要なんだろうか、とさえ思ってしまうときがあります。 『いま批評は存在できるのか』は、そのモヤモヤに正面から向き合う本でした。印象的なのは、批評を「マジョリティーに切り口を投げる営み」と捉えつつ、同時に“誰に向けて語るのか”という視点が何度も問い直されていること。いま目の前にいる読者に届く言葉と、10年後の読者に残る言葉。そのあいだで揺れながら書く人たちの葛藤が、読んでいるこちらにもじわじわ伝わります。 また、批評の背後には必ず環境を支えるケアワーカーがいる、という話も個人的には強く刺さりました。批評家そのものより、それを可能にする場所や観客をどうつくるのか。自分が日々感じていた「どこで言葉を育てればいいのか」という不安にも、ひとつの視点を与えてくれる本です。さらに、過去の批評がなぜ“新しく”読めるのかという議論も、現代の言語環境の窮屈さを裏から照らしてくれます。 いまの議論の空気に息苦しさを覚えている人、思考する余白をなんとか確保したい人にはとても静かに効く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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