
非美学 ジル・ドゥルーズの言葉と物
福尾匠
河出書房新社 / 2024-06-24
この本について
仕事でも創作でも、他者の考えや作品に触れたとき、「自分のやっていることは単なる応用に落ちていないか」「でも他者に開くと軸がぶれる気もする」というモヤモヤを抱えてしまうことがあります。僕もずっとここで揺れていて、どこかで「自律」と「触発」の折り合いをつけられないままでした。 『非美学』は、その行き場のない揺れに少し輪郭を与えてくれる本でした。ドゥルーズの哲学を、芸術との関わりの中で“実践として”読み解いていくのですが、そこで示されるのは、他者との距離を拒むでもなく、安易に吸収するでもなく、その都度の関係の変化にちゃんと目を向けるという姿勢です。創造を一枚岩にせず、分野ごとに異なる実践として丁寧に扱う視点も、自分の仕事の見え方を静かに揺さぶってきます。 特に、誤配や見逃しといった「うまくいかなさ」を、単なる欠陥ではなく、実践に潜む可能性として扱う考え方は、成果主義に寄りがちな日々の思考を少しだけ緩めてくれました。何かと「正しい手順」や「一貫性」を求められてしんどい人ほど、ここに救われる部分があると思います。 自分の専門を大切にしつつ、他者との出会いに揺さぶられながら仕事をしている――そんな人に静かに刺さる一冊です。
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