
ベルクソンの哲学 生成する実在の肯定 (講談社学術文庫)
檜垣立哉、杉山直樹
講談社 / 2022-05-12
この本について
忙しい日でも、自分の判断が「本当に自分のものなのか」わからなくなることがあります。状況に振り回されているのか、自分で選んでいるつもりになっているだけなのか。その曖昧さが積み重なると、行動の根っこが見えなくなってきます。 この本を読んでいて刺さるのは、「実在は流れとしてしか捉えられない」というベルクソンの視点が、そうしたモヤモヤに直接響いてくるところです。たとえば、私たちはしばしば進行した結果から過去を整理し直し、「あの時こうするしかなかった」と物語を作りがちですが、ベルクソンはそれこそが時間を空間化してしまう誤解だと言います。流れの只中にある自分をそのまま掴もうとする直観の姿勢は、選択に対する窮屈な感じをすっと緩めてくれます。また「自由とは、持続そのものの表れ方だ」という説明も、意志力の話ではなく、変化しつづける存在としての自分をどう見るかという視点の転換として効いてきます。 一冊を通して、抽象的な「自由」や「主体」を語るというより、流れとしての実在に私たち自身がどう参入しているのかを丁寧に追いかけてくれます。固定的に自分を理解しようとして行き詰まりやすい人に向いていると思います。むやみに前向きになる本ではないのですが、状況に押されているように感じるとき、見方を少しずらすための確かな足場をくれる本です。
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