
翻訳者の全技術 (星海社 e-SHINSHO)
山形浩生
白水社 / 2025-02
この本について
わからないものを前にしたとき、つい「まあこんな感じでしょ」と自分の中で話をまとめてしまうこと、ありませんか。仕事でもニュースでも、人の意図でも、知ったつもりのまま突っ走ってしまって後から「あれ、全然違った」と冷や汗をかく……自分もよくやります。 『翻訳者の全技術』を読んでいて刺さったのは、この“知ったつもり”に対して著者がとてもシビアだったことです。わからないものはわからないと言う。その姿勢が結局いちばん誤解を減らすし、遠回りなようでいちばん効率がいい。プーチン本を薄いのから分厚いのへ流して読む話も、ものごとを理解する順番の作り方としてすごく実用的でした。業界の事情を知らないまま訳したスター・トレックの例も含めて、「知らないまま進むと何が起きるか」をリアルに感じます。 もう一つよかったのは、日常の“なぜ”にちゃんと目を向けるという話です。定食屋でA定食ばかり頼んでしまう理由を確かめるみたいに、ちょっとした行動のクセをほぐすだけで、自分が何を前提に生きているのかが見えてくる。これは翻訳の話にとどまらず、思考の精度を上げるヒントでした。 情報を扱う仕事をしている人、あるいは「最近どうも理解の地図が作りにくい」と感じている人には、かなり刺さる本だと思います。自分の頭の中を訳し直すみたいな体験ができました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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