
娘が母を殺すには?
三宅香帆
この本について
母との距離感って、大人になってもなかなか割り切れないですよね。仲が悪いわけじゃないのに、どこか息苦しさがあるとか、母の期待を外すと「自分が悪い気がする」とか。そういうモヤモヤを言葉にしようとすると、途端に後ろめたさが出てきて黙り込んでしまう。僕自身、この「言いにくさ」をずっと抱えていました。 『娘が母を殺すには?』は、その沈黙の正体をひとつずつ丁寧に見せてくれます。たとえば、母と娘が密着しやすい構造のなかで、娘が母の弱さを「許さなきゃ」と感じてしまう理由。あるいは、母の価値観に包まれていることが、苦しさと同時に“心地よさ”でもあるから抜け出しにくいという、あの分かりづらい感覚。この本は、そうした揺らぎに具体的な言葉を与えてくれるので、読んでいて妙な安心感がありました。 さらに大事だと思ったのは、「母もひとりの不完全な個人にすぎない」という視点。母を絶対視した世界から一歩外へ出ると、他者との関係の中で自分の価値観を作り直す余地が生まれる。著者が提示する“母殺し”とは、決して母を否定することではなく、自分の人生を母の延長線から切り離すための現実的なプロセスなんだと腑に落ちました。 母と娘の関係にうまく言葉を見つけられず、心のどこかで引っかかりを抱えてきた人には、とても静かに刺さる一冊だと思います。
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多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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