
母性(新潮文庫)
湊かなえ
新潮社 / 2015-07-01
この本について
親との距離感って、大人になってもずっとつきまといますよね。わかってほしかった気持ちとか、言えなかったひと言とか、今さら思い返して苦しくなることもあると思います。自分の中にある「こうしてほしかった」が、実際の出来事と食い違っていることに気付くと、余計にややこしくなる。 『母性』は、そのしんどさを真正面から描いています。救いの物語ではないけれど、読んでいると、自分の中で曖昧だった感情の輪郭が少しはっきりしてくる感覚がありました。たとえば、相手がくれた愛が自分にとって心地よいとは限らないこと。あるいは、言葉にしなかっただけで、誰かも同じように不器用にもがいていたのかもしれないこと。そういう視点が、物語の端々でじわっとにじんできます。 痛い場面も多いけれど、読者が保存していた抜粋の多くは「本当は手を伸ばしたかった」「でもできなかった」瞬間でした。そこに刺さる人は、きっと自分の過去のどこかと重ねているんだと思います。 親子のことを誰かと比べたくないけれど、自分の中に説明しきれない感情が残っている人に届く本です。自分の歴史を無理に肯定しなくてもいいんだ、と少し呼吸がしやすくなるきっかけをくれます。
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多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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