
未来 (双葉文庫)
湊かなえ
翔泳社 / 2013-02-14
この本について
人と話していて、「あのとき何を伝えたかったんだろう」と時間がたってから自分の言葉の弱さに気づくことがあります。誰かを励ましたつもりが逆に迷わせてしまった気がしたり、自分の中に残しておきたい言葉ほど、日常のノイズにまぎれて薄れていったり。そういうモヤモヤが募ると、言葉って思ったより頼りないな、と感じてしまいます。 湊かなえさんの『未来』の抜粋を読むと、そんな感覚に触れてくれる描写がいくつもあって、読んでいる自分の内側のざらつきと重なるんですよね。暗がりで体育座りしていた人物にようやく気づくシーンも、誰かの痛みや孤独に「近付くまで気づけなかった」という、日常で自分がやってしまいがちな鈍さを突いてきます。そして言葉についての長い一節は、普段なんとなく流している「言葉を残す」という行為に、もう少し丁寧に向き合おうという気持ちを静かに呼び起こしてくれます。 この本が効くのは、言葉の力を信じたいのに、現実ではうまく扱えずに悩むときです。消えていく言葉をどう繋ぎとめるか、人に寄り添うとはどういう距離感なのか、そのあたりを物語を通してそっと考え直させてくれます。読み終えたあと、自分が最近誰にどんな言葉を渡したか、そしてどんな言葉を受け取ったかを、少し丁寧に思い返したくなるはずです。 伝えたい気持ちはあるのに、言葉がうまく形にならないと感じている人に特に届く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
読書の順序
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