
暁星
湊かなえ
双葉社
この本について
最近、自分の気持ちをどう扱えばいいのか分からなくなることが多いなと思います。何かを失った気がするのに、それを言葉にできないまま日々だけが進んでしまう感じです。怒りや寂しさが突然ぶり返すこともあって、結局「自分でも説明できないもの」として蓄積されていく。そんな時に『暁星』を読んで、少し呼吸が整うような感覚がありました。 この物語の人物たちは、光を失ったというより、光を奪われた人たちです。だからこそ、彼らが闇の中で顔を上げようとする姿に、こちらの気持ちも動かされます。特に、もやもやした感情を言葉にすることで、ようやく自分の輪郭をつかめる瞬間があるという描写は、読む側にもそのまま跳ね返ってきます。「書くことが、自分の外側に感情を逃がす手段になり得る」という視点は、日常にも持ち帰れるものでした。また、失った幸福についての考え方が、人との別れや後悔を抱えている人の心にそっと寄り添ってくれると思います。 湊かなえ作品の中でも、『暁星』は人の弱さを突きつけるというより、弱さのまま立ち止まる時間を許してくれる物語です。どん底に見える暗闇が、実は夜明け前の一番深い闇なのかもしれない。そんな視点をそっと差し出してくれる一冊でした。 自分の感情に名前がつけられなくてしんどい人、あるいは「誰かを守りたかっただけ」という気持ちを抱えている人に、特に届くと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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