
教養としての歴史小説
今村 翔吾
ダイヤモンド社 / 2023-08-29
この本について
自由に生きろと言われても、どこまでが自分の意思で、どこからが時代の空気なのかよく分からなくなることがあります。何を選んでも間違っている気がして、足が止まるあの感じです。僕も同じで、今の価値観だけで判断していると視野が狭くなるのが怖くて、歴史に触れるようになりました。 この本が面白いのは、歴史小説を「知識のため」ではなく「自分の生き方を確かめるため」に読む視点をくれるところです。たとえば、成功だけでなく失敗の積み重ねを物語として追えるおかげで、過去の人たちがどの場面で迷い、どう判断したのかが立体的に見えてきます。また、発言者の背景によって言葉の重みが変わるという指摘は、現代の人間関係にもそのまま響きました。歴史を知ることで、今の自分の感情の根っこが少し読み解ける感覚があります。 さらに、歴史小説が日本人の死生観やアイデンティティの揺らぎを映してきたという話が興味深くて、自分がどんな文化の延長に立っているのかを考えるきっかけにもなりました。知ってすぐ役立つ類の学びではないけれど、長く効いてくる種類の気づきが多い本です。 昔の人物の判断力や覚悟の背景を知りたい人、そして今の自分の立ち位置に少しでも違和感がある人には、すごくしっくりくる一冊だと思います。
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