
〈私〉を取り戻す哲学 (講談社現代新書)
岩内章太郎
講談社 / 2023-12-14
この本について
最近、情報に振り回されている感じが抜けなくて、「何を信じて、どう判断すればいいんだろう」と立ち止まる瞬間が増えていました。相手の言い方ばかり気になったり、誰かの“正しそうな意見”に寄せて自分の感覚を後回しにしてしまったり。そういうとき、自分の内側がスカスカになっている気がするんですよね。 『〈私〉を取り戻す哲学』は、そのスカスカを力づくで埋める本ではなく、まず“どこからズレているのか”を静かに照らす本でした。たとえば、「事実って結局どこにあるのか」という混乱に対して、世界の前に立つ〈私〉の意識そのものを見直すところから始めてみよう、と促してくる。あるいは、人間関係の不快を避けすぎると関係自体が浅くなる、と指摘されると、自分がどこで逃げ腰になっていたかが少しだけ見えてくる。著者自身の後悔や迷いが誠実に語られているので、こちらも素直に読み進められました。 結局のところ、この本は「正しい答え」を渡してくれるというより、判断の起点になる〈私〉をどう整えるかを一緒に考えてくれる感じがあります。相対主義に疲れたけれど、単純な正解にも飛びつきたくない。そんな人にはちょうどいい距離感の本です。
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