
自炊者になるための26週
三浦哲哉
この本について
自炊って続けたい気持ちはあるのに、結局いつも「とりあえず食べられればいいか」で終わってしまうことが多いんですよね。料理に向き合う余裕もないし、そもそも自炊で何が変わるのか実感しづらい。でも、この本を読んでいると、料理そのものというより「風味に気づく自分の感覚」がゆっくり育っていく感じがあって、そこがすごく救いになるんです。 たとえば、トースト一枚でも、狙いを持って焼くと味がまるで違うという話があります。パンの中に蒸気を充満させるタイミングを逆算するなんて、普段考えもしない。でもそれを意識すると、ただの朝食が少しだけ特別なものに見えてくる。あるいは、においが「別の場所や季節を映す」という話も、読んでから妙に腑に落ちました。鮎の香りが夏の清流を連れてくるという例えは、自分の食卓にも実際に起きうることなんだと気づかされます。 この本がいいのは、「自炊しなきゃダメ」と押しつけるのではなく、世界の雑多さや食べ物の個体差に目が向くようになるところです。完璧な料理ではなく、日々の中で風味にちょっと意識が向くようになるだけで、生活がすこし豊かに感じられる。そういう変化を丁寧に言葉にしてくれています。 料理の腕を上げたい人よりも、「日々の生活がどこか平板に感じている人」に刺さる本です。自炊そのものより、世界の見え方が少し変わる感覚を求めている人に。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
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