
御社のチャラ男 (講談社文庫)
絲山秋子
講談社 / 2020-01-23
この本について
仕事がしんどい時って、誰かに責められたわけでもないのに、勝手に自分を追い込んでしまうことがありますよね。休むのが下手で、疲れがたまるほど他人の余裕がまぶしく見えてくる。強くいたいのに強くなれなかった自分にいら立つ。そういうモヤモヤを抱えたまま働いている人、多い気がします。 『御社のチャラ男』は、そういう「自分の中だけで煮詰まっていく感じ」をすくい上げる小説でした。休めない空気の中で無自覚に攻撃的になっていく心の動きとか、仕事を“信仰”みたいに扱ってしまう職場の温度とか、本人ですら気づきにくい歪みがすごく静かに描かれているんです。無理している時ほど、自分が弱っていることを認めるのがつらくなるし、所属する場所の見え方まで歪んでいく。そのプロセスを客観的に見せてくれるのが、この本の効き方の一つだと思います。 もう一つは、「自分がどこに立っているのか」を少しだけフラットに見直せることです。会社員でいることの時代性とか、所属を選ぶことの意味とか、若さや都会への憧れや、世代感覚のさっぱりした距離感とか。誰の職場にもいそうな“チャラ男”の存在を軸に、仕事と人生の境目にある感情をゆっくり言語化してくれる感じがあります。 仕事に振り回されがちな人、あるいは「自分は弱いのかもしれない」と思うのがこわい人に、静かに刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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