
うさんくさい「啓発」の言葉 人“財”って誰のことですか? (朝日新書)
神戸 郁人
朝日新聞出版 / 2024-04-12
この本について
仕事でもニュースでも、きれいな言葉が飛び交うほど、「これって本当に自分のためのものなんだっけ…?」と足が止まる瞬間があります。リスキリング、主体性、人財。前向きに聞こえるのに、どこか引っかかる。努力不足と言われているような、見えない圧をかけられているような、あの居心地の悪さです。僕自身も仕事の場面で何度も感じてきました。 この本が効いてくるのは、その“違和感の正体”を言葉から丁寧にほどいてくれるところです。たとえば、企業や政治が「否定しづらい言葉」をどんな意図で使うのか。あるいは、「主体性」や「コミュ力」といった一見ポジティブな概念が、実はどんな基準で人を選別する道具になっているのか。読んでいるうちに、普段なんとなく受け入れていた言葉が、急に別の輪郭で見えてきます。さらに、GAFAの外にある世界の話や、労働者に「努力でなんとかしろ」と責任を押しつける構造にも触れられていて、自分の立ち位置をいったん外側から見直すきっかけにもなります。 派手に人生が変わるタイプの本ではありません。でも、日常で無自覚に浴び続けている言葉から、静かに距離を取れるようになる。その“間を置く”感覚が、僕にとってはかなり大きかったです。仕事やキャリアで「なんか納得いかないけど説明できない」モヤモヤがある人には、特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
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