
海を破る者 (文春e-book)
今村 翔吾
この本について
人と向き合う時って、「どこまで分かり合えるんだろう」とか、「相手の言葉は本音なのか」とか、考え出したらきりがありませんよね。仕事でも家族でも、人間関係そのものに疲れてしまう瞬間があります。僕も同じで、相手の表情の裏を読みすぎて自分が何を大事にしたいのか分からなくなることがあります。 『海を破る者』を読んで刺さったのは、戦という極限状態の中でも、人が抱える恐れや弱さの正体がものすごく丁寧に描かれているところでした。憎しみも慈しみも同じ手から生まれるという言葉は、自分の中の矛盾を責めすぎなくていいのかもしれない、と思わせてくれます。また、人は状況によって顔を変えるという描写も、自分が場面ごとに振る舞いが変わることを必要以上に後ろめたく感じなくていいのだと気づかされました。知らないものを恐れ、分かりやすい理由を求めてしまう人間の性も、歴史的なスケールで見せられると妙に腑に落ちます。 この物語は派手に励ましてくるタイプではなく、自分の中にずっとあった問いに静かに手を添えてくれるような感覚があります。何のために生きるのか、誰とどう向き合うのか、そのあたりを一度落ち着いて考えたい人に刺さると思います。 人間の弱さを嫌悪するのではなく、「弱さごと抱えて生きていくしかないよな」と自然に思わせてくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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