
孤島の鬼
江戸川 乱歩
オリオンブックス / 201502
この本について
仕事でも人間関係でも、気づけば自分の言葉が空回りしていたり、気持ちがうまく伝わらなかったりすることってありますよね。説明しようとすると余計こんがらがる、思い込みで判断して後から落ち込む…そういうモヤモヤに覚えがある人は多いと思います。 『孤島の鬼』を読んでいると、抜粋にもある「文章に駆使されてしまう私」という一文が、他人事に思えないんです。乱歩の語り手は決して完璧じゃなくて、勘違いしたり邪推したり、恐怖に足をすくわれたりする。その不器用さが、むしろ現実の私たちに近い。物語の極端な場面の中に、自分の弱さがそのまま置かれているような感覚があります。 もう一つ効いてくるのは、言葉の濃度です。読者の方が残していた「衒気」「隠顕」「磊落」みたいな単語の数々は、単に難語というより、感情の揺れや場面の温度を細かく切り取るための道具なんですよね。理解しようとするうちに、自分でも普段の思考のクセや、見落としていた感情の粒が浮き上がってくる。乱歩作品はミステリだけれど、読み手の感覚を研ぎ澄ませてくれるところがあると思っています。 真っすぐに説明できない気持ちを抱えたまま、それでも前に進もうとしている人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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