
バリ山行
松永K三蔵
講談社 / 2024-07-29
この本について
仕事のことで頭がいっぱいになって、実際には何も起きていないのに不安だけが増殖していく時ってありませんか。自分でもわかっているのに止められないあの感じ。私もこのループに何度もハマってきましたが、『バリ山行』を読んで、少しだけ視点が変わりました。 この本が描くのは、整備された道ではなく、人がほとんど入らない“バリ”を歩く人たちの姿です。彼らが向き合っているのは、会社の予測やイメージではなく、目の前の崖の手掛かりや足場といった「本物」だけ。妻鹿さんの「不安はまぼろしだよ」という言葉も、実際に落ちれば終わりという状況で発されたものだからこそ、きれいごとに聞こえない。歩いているうちに意識が抜け落ちて、身体だけが前に進んでいく描写も、頭だけで考え続けて空回りしていた自分には妙に沁みました。 特にぐっときたのは、妻鹿さんが誰にも褒められない低山を黙々と藪漕ぎし続ける理由です。成果とか他人の評価ではなく、「自分で選んだ道を確かめるため」に歩いている。その姿を見ていると、仕事の選択や会社の行方に振り回されている自分の小ささに気づくというより、もっと静かに「そこばかり見ていてもしんどいよな」と思わされるんです。 仕事の不安で呼吸が浅くなっている人、つい頭の中だけで未来をこね回してしまう人には特に刺さる一冊だと思います。自分の足元をもう一度確かめたい時に、そっと効いてきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
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