
この部屋から東京タワーは永遠に見えない (集英社文庫)
麻布競馬場
集英社 / 2023-10-19
この本について
なんとなく毎日をこなしているだけなのに、気付けば疲れていたり、他人の人生と比べて勝手に落ち込んでいたり。頑張っているつもりなのに、本当に前に進けているのか分からなくなること、ありますよね。自分の弱さを直視したくなくて、とりあえず手を動かしてごまかす…みたいな逃げ方も、僕は何度もやってきました。 『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』は、そういう“言葉になりにくい苦しさ”を静かにすくい上げてくれる小説です。偉そうに見える人にも、その人だけの地獄があるというまなざし。努力のぬるま湯に浸かって現実から目をそらす姿への容赦ない描写。そして、完全な幸せも完全な不幸もなく、誰もが揺れながら生きているという受け止め方。読んでいると、自分だけが特別に迷っているわけじゃなかったんだと思えてきます。 この本の効き方は劇的ではないですが、ふとした場面で自分の呼吸が戻るような感覚があります。誰かに期待される息苦しさに疲れたときや、他人の人生の眩しさに視界を奪われそうなときに、少し距離を置いてものを見られるようになる。人の弱さに対しても、自分の弱さに対しても、少し優しくなれる。 特に、自分の人生を“なんとなく”で積み上げてきた気がしている人には刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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