
Phantom ファントム (文春文庫)
羽田 圭介
文藝春秋 / 2024-09-04
この本について
お金や時間の使い方を考えるとき、「将来のために我慢してるはずなのに、なんだか貧乏くさくなっている気がする」「健康や老化対策に気を取られすぎて、今が抜け落ちてる気がする」みたいなモヤモヤってありますよね。自分も投資本を読みすぎて、気付いたら“今の自分”がどこかに置き去りになっている瞬間があります。 『Phantom』は、そういう感覚をじわっと突いてくる小説でした。積み上げた資産の先にあるのが本当に望む生活なのか、若さや容姿に執着して得るものと失うものは何なのか、登場人物たちの会話や価値観を通して、自分の中の前提が揺さぶられます。特に、紫外線を避けるように“心地よいことも避け続けてしまう”感覚や、資産形成の果てに待っている生活が意外と質素である描写は、読みながらドキッとしました。 この本のすごいところは、極端な成功論を押しつけてこないところです。むしろ、「じゃあ自分はどう生きたいんだろう」という問いだけが静かに残る。登場人物が全員どこか不完全で、その不完全さに自分の生活の影が重なるからこそ、読み終わったあとに少しだけ視点が変わる感覚があります。 将来のために頑張っているはずなのに、なぜか今が薄くなっている気がする人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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