
バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上 (海外文学セレクション)
R・F・クァン and 古沢 嘉通
東京創元社 / 2025-02-14
この本について
仕事でも日常でも、言葉の扱いがしんどく感じるときがありますよね。意図を正確に伝えられない、自分の背景を説明しきれない、相手の文脈を読み違えてしまう。表面上は会話が成立しているのに、どこかで小さなズレが積み重なっていく感じ。あの「何かがうまく届かない」感覚にモヤモヤしている人は多いと思います。 『バベル』を読んでいると、そのズレ自体が人間の営みの中心にあることを思い知らされます。たとえば、言語間には一対一の対応がそもそも存在しないという指摘。これは翻訳の話に見えて、実際には僕らの日常のコミュニケーションそのものにも当てはまってきます。また、ロビンが政治や社会の動きを「銀」という軸で読み替えていく場面は、物事の裏側にある力学をどう察知するかという訓練に近いものがあり、仕事で複雑な状況に立たされるときの視野の広げ方に通じます。そして、言語の“失われるもの”が力の源になるという発想は、自分の経験や背景をどう扱うかを考えるきっかけにもなりました。 物語としても魅力的ですが、読んでいて一番刺さるのは「自分がどんな文脈の中で生きているのか」を静かに考え直させられるところです。環境に合わせようと必死になりすぎて、自分の感情を後回しにしがちな人ほど、ロビンの揺れに救われるはずです。 こんな人に刺さると思います。言葉の扱いでいつも疲れてしまう人。
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