
知性の復権―「真の保守」を問う―(新潮新書)
先崎彰容
この本について
最近、SNSを見ているだけで気持ちがざわつくという話をよく聞きます。自分だけ置いていかれているような感覚とか、世界全体がどこに向かっているのか分からない不安とか。正直、僕自身も同じで、個人の問題なのか社会の問題なのか、その境目が見えなくなる瞬間があります。 『知性の復権』は、そのモヤモヤを一段引いた視点から捉え直すきっかけになる本でした。とくに刺さったのは、気分や感情だけでは説明しきれない「世界の揺らぎ」が、僕ら個人の不安とどこかつながっているという指摘です。SNSの自己承認欲求がなぜあれほど暴走しやすいのか、国家レベルで自己像が崩れるとどんな振る舞いが起きるのか、その構造が淡々と解きほぐされていきます。読んでいて、自分の不安が急に消えるわけではないけれど、「ああ、これは自分だけの問題じゃなかったんだな」と少し落ち着ける感覚がありました。 もうひとつ印象的なのは、筆者が提示する“保守”の位置づけが、よくある政治ラベルとはまったく違う点です。利己的な個人主義に対する批判というより、バラバラになった社会の中でどうやって関係性を回復し、背筋を伸ばして生きるかという話に近い。ニュースの断片を見ているだけでは絶対に届かない、歴史と思想を通した長い視野をもらえる感覚があります。 「世界の混迷と、自分の不安がどこかでつながっている気がする」という人ほど、静かに効いてくる本だと思います。
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