
光のとこにいてね (文春文庫)
一穂 ミチ
文藝春秋 / 2022-11
この本について
人と距離をとるのが下手で、逆に近づきすぎてしんどくなることがありませんか。家族でも友人でも、「全部わかり合うのは無理だよな」と頭では思うのに、どこまで踏み込んでいいのか迷う。自分の気持ちも相手の気持ちも、きれいに整理なんてできないまま日々が過ぎていく。そんなモヤモヤを抱えているときに、この小説の言葉がじわっと残るんだと思います。 抜粋にある「全部私と一緒だったら、つまらないかもしれない」という一文は、距離の取り方に悩むときの救いになります。相手と違う部分があるからこそ関係は続くし、同じでいられないことを責めなくていいんだと少し呼吸が楽になる。さらに「心の中の家に誰をどこまで入れるかは直が決めていい」という言葉が、家族だから全部共有すべき、という無言のプレッシャーを静かにほぐしてくれます。 そしてタイトルにもつながる「光のとこにいてね」の弱々しい祈り。誰かを強く守る覚悟でも、世界を変える願いでもなく、ただ「そこにいてほしい」という控えめで等身大の気持ちに、私たちの現実がそのまま投影されているように感じます。明るさが真実を容赦なく照らしてしまうように、幸せを強く願うほど不安が顔を出すことだってある。でも、それでも関係を続けていく人とのあいだには、確かに小さな光がある。 人との距離感に疲れやすい人、家族だからこその難しさを抱えている人に刺さる物語です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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