
のぼうの城 下 (小学館文庫)
和田竜
小学館 / 2010-10-06
この本について
仕事でも人間関係でも、「自分はもっとやれるはずなのに、総大将として振る舞えと言われると身がすくむ」ときがあります。立場だけが先に大きくなって、心が追いつかない感じです。そんなときに『のぼうの城 下』を読むと、肩の力が少し抜けます。読者が抜き出している場面を見ていると、刺さっているのは“強さの形がひとつじゃない”というところなんですよね。 成田長親は、総大将なのに何かを「できる」わけではない。むしろ無能に見えるほど飄々としていて、家臣たちに自由にさせてしまう。しかし、だからこそ周りが勝手に支え始める。去りたい者は去らせる、城に残る者は残る――その距離の取り方が、結果として信頼になる。自分が前に出て動かないとチームがまとまらないと思い込んでいる時期ほど、この感覚が沁みます。 もうひとつ印象的なのは、「有能なるも敵には無能を示せ」という視点です。効率や成果を追うとどうしても最短距離を求めたくなるけれど、あえて鈍く見せることで相手の動きを誘う。仕事でも、すぐ答えを出さない方が物事が進む場面ってありますよね。これを戦の駆け引きとして描くからこそ、日常の判断にも置き換えやすい。 勢いではなく、じわっと効くリーダー像に触れたい人に向いています。自分の弱さごと引き受けながら進む方法を探しているとき、静かに背中を押してくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
読書の順序
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