
風の又三郎
宮沢 賢治
三和書籍 / 20191205
この本について
仕事の合間や家に帰ってから、なんとなく「昔みたいに夢中になる感じ」が減ったなと思うことがありませんか。効率や成果を考えるクセがついて、大人になるほど、理由のないワクワクを置き忘れてきたような感覚です。頭では休みたいと思っていても、心のほうはうまく休めていない、みたいな。 読者が保存してくれた場面には、その逆の世界があります。楊の枝を折って鞭を作り、ひゅうひゅう振りながら野原をのぼっていく子どもたち。馬が全然速く走らなくても、ただ並んで追いかけるだけで息を切らしながら笑っている。その「意味はないけど、理由なくおもしろい」という感覚に、今の自分たちがちょっと忘れかけているものがにじむんですよね。 宮沢賢治の『風の又三郎』は、物語としては不思議さのある一冊ですが、効き方はもっと地味で現実的です。まず、子どもたちの行動に触れるだけで、気持ちが少し外気に当たるような感じがします。目的ではなく、流れに乗って動く感覚を思い出せる。さらに、又三郎の存在が「よく分からないものをそのまま受け入れる」余白をくれて、思考が詰まったときの息抜きにもなる。そんなゆるい効き方です。 こんな人に刺さると思います。最近、感情の振れ幅が小さくなった気がする人。理由をつけないと動けなくなってきた人。大人になってもまだ迷っている仲間として、ちょっと外の空気を思い出すきっかけにどうぞ。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの67%が集中しています。
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