
「キレ」の思考 「コク」の思考
村山 昇
東洋経済新報社 / 2012-12-13
この本について
仕事で判断に迷うときって、「もっと合理的に考えなきゃ」と自分を追い込みがちですが、実際はそれで視野が狭くなっていることも多い気がします。目の前の数字やロジックはクリアになっていくのに、肝心の“何を大事にしたいのか”だけどんどん曖昧になるあの感じです。僕自身、そこでつまずくことが何度もありました。 『「キレ」の思考 「コク」の思考』を読んで面白かったのは、曖昧さを避けずに向き合うことでしか、自分が本当に立ちたい場所が見えてこないという視点でした。ジレンマに触れたとき、正解を探すのではなく、自分の道徳観や理想を抽出して判断するプロセスこそが、自分の輪郭をつくるという考え方はかなり腑に落ちます。また、つくり手だからこそ主観で大胆に仮説を立てていい、というメッセージは、合理の世界に長くいると忘れがちな視点でした。消費者の声を聞きつつも、それを超えて“自分が見る本質”に潜る必要があるというのは、仕事の現場でそのまま使える感覚です。 さらに印象的だったのは、抽象と具象の行き来が弱いと、どれだけ論理的でも独自性が死ぬという指摘です。実際、目の前のタスクだけで判断すると壁が高く見えるけれど、抽象側にいったん戻って「そもそも何を解きたい結び目なのか」を捉え直すと、急に道が開けることがあります。 自分の解像度を上げながらも、曖昧さに耐える力を取り戻したい人に刺さる本です。
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