
未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―(新潮選書)
片山杜秀
この本について
歴史の本を読んでいると、「なんで当時の人たちはこんな判断をしたんだろう」とか、「合理と非合理の線引きってどこなんだろう」といったモヤモヤが残ることがあります。いまの自分の仕事でも、理屈だけでは割り切れない場面にぶつかるたび、その感覚がよみがえります。 『未完のファシズム』が面白いのは、日本陸軍や知識人たちの判断が、単なる暴走でも単なる精神論でもなく、「持たざる国」という制約の中で生まれた“現実的な選択”だった可能性を丁寧に描いているところです。読者が抜粋した部分に何度も出てくるのは、装備も補給力も足りないなかで、どんな戦略を“建前として掲げざるを得なかったか”。あるいは、デモクラシーすら「国民の活力を使うための仕組み」として再解釈されていたという、価値観のねじれです。この視点に触れると、「どうしてそんな極端な思想が生まれたのか」という疑問が、“そう選ばざるを得なかった事情”として見えてくる瞬間があります。 そしてもうひとつ効くのは、皇道派と統制派の対立の裏にあった「未来の国力をどう見積もるか」という違いです。同じ現実を見ていても、楽観と悲観でまったく別の行動になる。その構図は、組織の意思決定にもそのまま重なるところがあって、自分の仕事の場面を思い出さずにはいられません。 歴史の、白黒つかない部分にもう一度光を当てたい人に刺さる本です。
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多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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