
満鉄調査部 (講談社学術文庫)
小林英夫
講談社 / 2015-04-10
この本について
仕事で「大きな判断ほど、現場の空気や政治的力学に振り回されてしまうな…」と感じることがあります。理屈は通っているのに動けなかったり、逆に合理的じゃない決定が平然と通ったり。頭では整理しているつもりでも、社会や組織がどう動くのかまでは見えにくいままです。 『満鉄調査部』を読んで刺さったのは、彼らがまさに同じような矛盾の中で仕事をしていた点でした。現実を批判的に観察しながらも、国策の枠からは抜けられない。その中で、ソ連研究や産業調査、五ヵ年計画の立案など、目の前の課題に対して徹底的に合理性を追求していく姿勢が淡々と描かれています。調査書類が何百ページにも及ぶような泥臭い積み上げが、国策の裏側でどう活かされたのか。そのプロセスが見えてくると、「正しさ」と「現実」の折り合いのつけ方を、自分の仕事に少し引き寄せて考えられました。 また、関東軍や官僚、理想主義者、マルクス主義者が呉越同舟で同じ計画に関わっていく混沌は、組織の意思決定がどれだけ多層的かを教えてくれます。誰が主役か分からないまま物事が動く感じに、現代のプロジェクトも重なります。 歴史の専門書ですが、“複雑な状況で合理性を手放したくない人”には特に刺さる本でした。
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