
紳士靴を嗜む はじめの一歩から極めるまで
飯野 高広
株式会社朝日新聞出版
この本について
靴を選ぶときって、見た目の好き嫌いで決めてしまいがちですが、後から「これ、ビジネスで履いていいのか」「なんでこの色だけ浮くんだろう」と悩むことが多い気がします。僕自身、服より靴でつまずくことが多くて、なんとなくの感覚で選んでいたせいで、場面に合わずに落ち着かないまま過ごした日もありました。 この本は、そういう“なんとなくの不安”をひとつずつ言語化してくれるタイプです。例えば、黒と茶の使い分けが国ごとにどう違うのか、ブローグやUチップの本来の立ち位置はどこなのか、といった歴史的な背景が丁寧に説明されます。用途の原点を知ると、急に判断が楽になるんですよね。また、ノーザンプトンの産業としての紳士靴の話や、グッドイヤーウェルト製法の理由など、単に「良い靴とは何か」を語るだけでなく、構造や文化がどう今の形に落ち着いたかまで触れられていて、靴を見る目が自然と変わります。 さらに助かるのは、フィッティングや手入れの説明が“現実的”であるところです。指がどの程度動くべきか、クリームをどのくらい残せばいいのか、厚塗りがなぜ逆効果なのか。感覚で流しがちな部分ほど丁寧に書かれていて、読んだその日から靴との距離が少し縮まります。 服より靴に迷いが出る人、あるいは「身嗜み」という言葉の輪郭をもう少し自分の中で確かめたい人に、とても静かに効いてくる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの39%が集中しています。
読書の順序
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