
ようこそ地球さん(新潮文庫)
星 新一
新潮社 / 201202
この本について
最近、世の中の仕組みとか、人間関係の力関係とか、「自分ではどうにもならないもの」にぶつかることが増えていませんか。努力しても報われる実感が薄かったり、組織や社会の“お約束”に振り回されて、ふと虚しさが出てきたり。かといって全部投げ出すほど強くもないし…というあの感じ。僕もよくそこで足が止まります。 星新一の『ようこそ地球さん』を読むと、その停滞に少しだけ風が通るんです。抜粋を見ていると、読者の方が反応していたのは、権力や仕組みの理不尽さに対するやり場のない気持ち、そしてテクノロジーや効率化が人間をゆがめていく皮肉へのまなざし。それに、従順に生きてきた人間がふいに感じる「もっと違う生き方があったのでは」という後悔にも強く共鳴しているように見えました。 この本が効くのは、単に“風刺が鋭い”からではなく、日常では言語化しづらい感情を、短編という小さな箱の中でくっきり見せてくれるところです。自動化が進む世界で失われる個性とか、便利さと引き換えに奪われていく思考の自由とか、誰かに支配される側に回った瞬間のささやかな復讐心とか…。読んだあと、自分の感情に名前がつくような感覚があります。そして、それが次の日のちょっとした判断を変えてくれる。 肩肘張らずに読めるのに、ふと心の奥を掘られる感じが欲しい人に特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
読書の順序
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