
今こそマルクスを読み返す (講談社現代新書)
廣松渉
講談社 / 1990-06-15
この本について
働いていて、「なんで自分はこんなに追われてるんだろう」とか、「自由に生きてるはずなのに、なぜか身動きが軽くならない」という感覚って、けっこう共通なんじゃないかと思っています。僕自身、働く理由をうまく言語化できないまま、日々のタスクに巻き込まれている感覚が抜けませんでした。 『今こそマルクスを読み返す』が効くのは、この“モヤモヤの正体”を、精神論ではなく「関係のあり方」や「生産の場で起きていること」から説明してくれるところです。たとえば、自分の労働が商品として売買されているという視点に立つと、「ああ、だから責任感や自由の意識さえ、生産の仕組みに組み込まれているのか」と腑に落ちる瞬間が出てきます。また、人間を“社会的諸関係の総体”としてとらえる考え方は、個人の努力や気持ちだけで説明できない負荷に、別の光を当ててくれます。さらに、資本が物ではなく「関係」だと理解すると、これまでただの仕組みに見えていたものが、人と人の振る舞いの集積として読み替えられていきます。 仕事と生活のあいだで「自分の位置づけがよく分からなくなる瞬間がある人」に静かに刺さる本です。読みながら、いま置かれている関係のなかで何が自分を動かしているのか、どこに歪みがあるのかを、自分の言葉でたどれるようになります。過度に劇的な答えはありませんが、働くことの重さに説明がつくと、それだけで日常の見え方が少し変わります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
読書の順序
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