
日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか (講談社現代新書)
内山節
この本について
「最近なんとなく、生き方の基準が自分の中で迷子になる瞬間が増えてきたな」と感じることがあります。仕事でも生活でも、判断の軸がぶれるというか、自分の不安に振り回されてしまうというか。そんなときにこの本を読んでいると、いまの社会で当たり前だと思い込んでいた感覚が、じつは歴史的にはかなり特殊なんだと気づかされました。 たとえば、人が「客観的な世界」に生きているのではなく、「自分がとらえた世界」に生きているという指摘。これが妙に刺さりました。自分の不安が世界の見え方そのものを変えてしまう感じ、心当たりがありすぎました。また、自然と人間の関係を通して、昔の人は不安に対して別の構え方をしていたという話も印象的で、山菜が生えて森が戻っていく風景まで含めて、世界の捉え方そのものが循環していたんだなと実感しました。 この本が効いたのは、今の「自分の不安を自分ひとりで抱え込む」という前提を、そっと横からゆるめてくれたところです。生き物や土地との関係、修行のあり方、通過儀礼の意味など、どれも昔の話ではあるのに、読んでいると「いまの自分の感覚もこの流れの先にあるんだ」と思えてきます。視点が変わるだけで、焦りの質が少し変わるというか。 自分のモヤモヤの正体を、別の角度から静かに見直してみたい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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