
働きざかりの心理学(新潮文庫)
河合 隼雄
新潮社 / 1995-04-28
この本について
仕事でも家庭でも、人との距離感をどう取ればいいのか分からなくなるときがあります。ほめ方ひとつ取っても、相手に合わせすぎると自分が空っぽになる感じがするし、かといって主張すれば「わがままかな」と迷う。そんなモヤモヤを抱えたまま、気づけば毎日を乗り切るだけで精一杯になってしまうことがあります。 『働きざかりの心理学』は、そういう“板挟みの中年”が抱える混乱を、社会の構造や家族の在り方も含めて静かにほどいてくれる本でした。ほめることにも責任があるという指摘は、相手に向き合う前に「自分の本音はどこにあるのか」を確かめる感覚を思い出させてくれますし、場の空気に合わせてしまう日本人的な癖についての分析は、なぜ疲れるのかを説明してくれるだけでなく、どこに主体性を置けばいいかのヒントにもなると感じました。さらに、夫婦や親子の距離についての話は、長く一緒にいるからこそ誤解が積もる現実に、変に理想を押しつけない視点を与えてくれます。 誰かを変えるための本ではなく、自分の中に散らばっていた感覚を少し整えてくれる本です。働きながら「自分の役割をどう扱えばいいのか」に迷っている人には、静かに刺さると思います。
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