
今こそルソーを読み直す (生活人新書)
仲正 昌樹
この本について
政治や社会の話題を目にするたび、「結局“みんなの意志”って何なんだろう」とか、「多数決で決まったことに、どうして自分も従わなきゃいけないんだろう」と、じわっとした違和感が残ることがあります。感情の問題というより、“正しさ”の基準が揺れている感じに近いかもしれません。 『今こそルソーを読み直す』は、そのモヤモヤを無理に晴らすのではなく、輪郭をはっきりさせてくれる本でした。たとえば、事実と規範はつながらないという指摘を読むと、「力が強いから正しいわけじゃない」という当たり前のことを、改めて政治の土台として考え直すきっかけになります。また、「人民になるには満場一致が必要だ」と言いながら、その満場一致をどう確認するかで堂々巡りになるという話は、今のネット空間の“みんな”概念の不安定さに直結していて、読みながら何度も立ち止まりました。 さらに、ネット上で同じ意見の人だけに囲まれることで過激化が進む、というサンスティンの話が出てくると、現代にルソーが再評価されている理由が腑に落ちてきます。自由と民主主義のあいだの緊張をどう扱うかは、日々ニュースを追っているだけでも避けられない問いだからです。 「自分が属している“私たち”って何だろう」と、どこかで気になっている人に刺さる本だと思います。読んだ後は、社会を見るときの焦点が少しだけ変わる、そのくらいの地味だけど確かな作用があります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの12%が集中しています。
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