
不連続の世界
恩田陸
幻冬舎
この本について
日々、人と同じ景色を見ているつもりなのに、実はまったく違うものを見ているのかもしれない。そんな感覚にふと不安になることがあります。自分の考え方も、癖も、連想の飛び方も、なんとなく自分でも持て余していて「これって普通なんだろうか」と立ち止まってしまう時があります。 恩田陸の『不連続の世界』は、その揺らぎを無理に整えようとせず、「人それぞれ感覚の地図が違う」という前提の上で物語が進んでいきます。登場人物が歩きながら過去の記憶に突然つながってしまったり、同じ景色を前にしても別々の色を見ているかもしれないと感じたりする描写が、妙に現実と地続きなんですよね。自分の思考のクセも含めて、人間の認知ってこんなふうにバラつくものなんだと、読みながら少し肩の力が抜けます。 特に、世界を俯瞰しようとする感覚が子どもの頃からの「自分を客観視したい」という欲求だという話や、価値観が細分化された社会で共有できるのは恐怖感だけなのかもしれないというセリフは、今の空気とも重なります。連続しているようで不連続なこの世界を、どう受け止めて生きていくか。その姿勢を静かに考えさせられました。 自分の感覚にズレを抱えている自覚がある人に、じわっと効く物語です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの60%が集中しています。
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