
ツァラトゥストラ(下) (光文社古典新訳文庫)
ニーチェ and 丘沢 静也
講談社 / 2024-03-14
この本について
仕事でも人間関係でも、「なんとなく凡庸な場所に落ち着いてしまう感じ」ってありませんか。やりたいことはあるのに、自分を抑えて無難にまとまっていく。気づけば、誰かの価値観のちょうど“まん中の椅子”に座らされているような感覚です。そこから抜け出したいのに、どの方向へ踏み出せばいいのかがわからない。そんな停滞の時期に、ニーチェの『ツァラトゥストラ(下)』はじわじわ効いてきます。 この本が力になるのは、まず「他人の賛成や反対に目を曇らされるな」という、静かな距離の取り方を教えてくれるところです。感情に振り回される前に森へ逃げて、自分の剣を眠らせるような姿勢は、日常の判断にも思い当たるところがあります。そしてもうひとつは、「自分を愛しつつ、同時に軽蔑もしている」という人間のややこしさをそのまま描き切ってくれる点。自己肯定にも自己否定にも片寄らず、両方を抱えて進むしかない、という現実が少しだけ受け入れやすくなります。さらに、「これが生きるってことだったのか。じゃあ、もう一度」という、死の直前のような地点から人生を振り返る視点が、いまの選択に新しい重さを与えてくれます。 派手に背中を押してくれる本ではありません。ただ、自分の中の“まだ呼び出していない声”が確かにあると思えるようになる一冊です。今の自分を超えたいけれど、空元気では動けない、そんな人に刺さると思います。
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