
自由をいかに守るか ハイエクを読み直す (PHP新書)
渡部 昇一
PHP研究所 / 2014-02-21
この本について
社会の議論を見ていると、「善意でやっているはずなのに、どこか息苦しくなっていくのはなぜなんだろう」とモヤッとすることがあります。人を助けたい気持ちや公平さへの願いが、気づくと別の圧力になってしまう感じ。自分でも説明しにくいこの違和感を、どう扱えばいいのかよく迷っていました。 この本は、そこで立ち止まったときの視点を少し変えてくれます。たとえば、善意の政策がいつの間にか「事実よりも物語を優先する力学」に飲まれてしまうプロセスを、具体的な歴史の例を通して見せてくれます。また、自由の意味がいつの間にかすり替わる瞬間──「機会の平等」から「結果の平等」へと軸がずれていく流れを追うことで、議論が噛み合わなくなる理由も見えてきます。そして、発展の「恩恵」を受けたはずなのに不満ばかりが増える現象を、人間の認識の弱さという観点から説明している点も、妙に腑に落ちました。 派手な処方箋があるわけではないのですが、「なぜあの議論は極端に流れるのか」「なぜ善意のはずなのに窮屈になるのか」を、自分の中で整理したい人には向いています。特に、社会の空気にどこか引っかかりを覚えつつ、単純な答えには寄りかかりたくない人には、静かに効いてくる一冊だと思います。
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