太宰治大全

太宰治大全

太宰 治

累計読者数6
平均ハイライト数 3.5件/人
star総合評価 34/100
start序盤集中型

この本について

なんとなく、自分の気持ちが置いてけぼりになる日があります。気分は揺れるのに、理由は説明しづらいし、うまく言葉にしようとすると余計に嘘っぽくなる。そんな時に限って、人から「どうしてそう思うの?」と聞かれても答えようがなくて、ただモヤモヤだけが残るんですよね。 太宰治の文章を読んでいると、その説明できなさを無理に整えようとせず、むしろ「人はいつのまにか違う野原を歩いている」という受け止め方に救われます。転機は語れない、愛情は醜さと並んで存在する、芸術は自分の姿の方に現れる。きれいにまとまらない現実を、そのままのかたちで扱おうとしている姿勢が、読んでいるこちらの呼吸を少し整えてくれるんです。 また、この全集を通して感じるのは、太宰がいつも“自分の弱さをごまかさない”という点です。見栄を張りたくなる瞬間や、人を羨んでしまう感情、過去の選択に対する割り切れなさ。どれも直視しづらいものなのに、太宰はそこを避けずに書く。その生々しさが、こちらの心のほうにも静かに火をつけてくれる気がします。 綺麗ごとじゃなく、自分の情けなさや未完成さごと抱えて生きている人には、太宰治大全はじわじわ効きます。少し呼吸の仕方を教えてくれるような一冊です。

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