
ミシェル・フーコー ――近代を裏から読む (ちくま新書)
重田園江
筑摩書房 / 2011-09
この本について
最近、ニュースやSNSを眺めていると、「自分が見ている世界って本当にそのまま受け取っていいのか?」という薄いざわつきみたいなものが残ることがあります。制度も価値観も“当たり前”として受け入れてしまっているけれど、本当にそうなのかよく分からない。僕自身もそこで立ち止まることが多いです。 この本が効いてくるのは、その“当たり前”を無理に覆すのではなく、少し角度を変えて見せてくれるところです。フーコーがやろうとしたのは、目に見えない真理を暴くことより、見えているものの見え方をずらすこと。処罰や監獄の歴史をたどりながら、なぜ社会が特定の制度を選んだのか、どんな人々の反応や不安がそれを形づくったのか、とても具体的に描いてくれます。読むうちに「制度がこうだから人が動く」のではなく、「人の反応が制度を変えてきた」と見える瞬間が増えて、世界の輪郭が少しだけ変わります。 特にぐっときたのは、刑罰が“犯罪者本人”よりも“それを見る大衆”に向けた記号だった、という視点です。僕らが今当然のように受け取っている裁判や監獄も、効率や不安、権力との距離感の調整といった、かなり生々しい動機から形づくられてきたものだと分かる。こういう現実味のある説明が、思考の硬さをほぐしてくれます。 「社会の仕組みを一歩引いて見てみたい人」「世界の“前提”にうっすら違和感がある人」に特に刺さる一冊だと思います。
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