
大衆教育社会のゆくえ 学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)
苅谷剛彦
この本について
仕事でも日常でも、「努力すれば報われるって本当なんだろうか」とか、「教育の議論っていつも何か大事なところを避けている気がする」といったモヤモヤを抱えたまま、大人になってしまった感覚があります。自分の経験と社会全体の話がどうつながっているのか、それがずっと宙づりになっている感じです。 苅谷剛彦『大衆教育社会のゆくえ』は、その宙ぶらりんを静かにほどいてくれる本でした。特徴的なのは、よく語られる「学歴社会」ではなく、その背後にある“見えにくい前提”に光を当てているところです。たとえば、日本では親の職業や階級をあまり気にしないのに、実際の教育達成には文化的な背景が安定して影響し続けているという指摘。ここに触れられるだけで、自分が感じていた説明しづらい息苦しさが形を持ちはじめます。また、「どの子も同じように」という平等主義のあり方が、結果として多様性を押しつぶしてしまう構造の話も、学校の記憶とつながって腑に落ちます。 教育やキャリアのことを考えるとき、「自分の問題」と「社会の問題」の境目がぼんやりしてつかみにくい人に特に刺さる本だと思います。大げさに人生を変えるような本ではないですが、足元の風景の見え方は確実に変わります。
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