
本当はこんなに面白い「おくのほそ道」
安田 登
実業之日本社 / 2014-01
この本について
日々やることに追われていると、「この状況をちょっと外側から見られたら楽になるのに」と思うことがありませんか。自分の中に別の視点があるはずなのに、うまく取り出せないまま目の前のタスクに飲み込まれていく感じ。僕もけっこうそのタイプで、旅に出る余裕なんてないのに「いまの場所から半歩でいいから外に出たい」と思うことがよくあります。 この本で印象的だったのは、芭蕉と曽良の関係を「サードマン」として読み解く視点でした。追い詰められたときに現れる“もうひとりの自分”という発想は、実際の日常でも思い当たるところがあります。やらなきゃいけないけど気が乗らない仕事を前にしたとき、ふと冷静な人格が横から出てくる感じ。その正体を「幻覚かどうか」で終わらせず、旅の相棒として扱ってしまうところに、この本の面白さがあります。 さらに『おくのほそ道』をRPGとして読むという提案も、現実の風景にクエストが潜んでいるような感覚をくれます。場所の名前の裏にある神話的な意味を拾ったり、能の物語を“攻略本”として参照したり、芭蕉が見ていた世界のレイヤーが一気に開けてくる。本当に小さな移動でも、別の世界へスイッチが入る瞬間があるんだなと気づかされました。生きにくさを笑いに変える俳諧の距離感も、いまの時代にちょうどいいです。 深刻になりがちな思考を、少し柔らかく別角度から見たい人に刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
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