
NHK短歌 シン・短歌入門
笹 公人
NHK出版 / 2023-12-20
この本について
短歌を始めたいけど、いざ自分で詠もうとすると「テーマが大きすぎて手が止まる」「気持ちを書いたはずなのに薄っぺらく見える」といったモヤモヤ、けっこうありませんか。僕も最初はまさにそこに引っかかっていて、「短歌って才能がないと無理なんじゃ」と思っていました。 この本がよかったのは、そういう行き詰まりに現実的な通路をつくってくれるところです。たとえば、“大きな普遍を詠むには、小さなものから入る”という視点。床に落ちた消しゴムのような、本当に小さな具体から世界とつながる感情が立ち上がる、という話が腑に落ちました。いきなり人生や愛を詠もうとしなくていい、という許しにも聞こえます。また、「悲しい」「うれしい」といった記号的な言葉を避けるだけで、自分の感情が驚くほど立ち上がるという指摘も、実際に試すと実感します。形容詞を削ったことで、逆に自分の感じている“質感”が見えてくるんですね。 さらに、好きな歌人を真似することから始める、というアプローチも救われるポイントでした。うまさにこだわらなくていいし、二、三年はモノマネでいい。型に倣って句切れを意識すると、自分の文体が自然に育ってくるという説明は、習い事よりももっと生活に近い感じがして安心します。 短歌を「うまく詠まなきゃ」と肩に力が入りがちな人や、日々の小さな気づきを言葉にしてみたい人に、静かに効いてくる本だと思います。
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