
論文捏造はなぜ起きたのか? (光文社新書)
杉 晴夫
光文社 / 2014-09
この本について
研究の世界って、外から見ると「自由に探求している人たち」というイメージがありますが、実際には評価や資金の仕組みで身動きが取れなくなっていく話、よく聞きます。自分の仕事でも、上からの方針変更で急に求められる成果が変わったり、「本当にこれでいいのか」と思いながら数字だけ追わされる瞬間があって、なんとなく胸のざわつきが残るんですよね。 この本は、論文捏造という派手な事件を扱いながら、原因としてあまり語られない“制度のほうの歪み”を淡々と説明していきます。抜粋にもあるように、国立大学の独法化や競争的資金の導入がどう研究現場の自由を奪い、短期成果を強制し、結果的に人を追い詰めていくのか。読んでいると「個人の倫理」だけでは片付けられない構造が見えてきて、モヤモヤの正体に触れられた感じがしました。個人的には、競争が公募前に実質終わっているという話がいちばん刺さりました。見せかけのルールの中で走らされるしんどさは、研究職でなくても覚えがあります。 研究の話ではあるけれど、「成果主義の空気に押しつぶされそうになったことがある人」には静かに効く本だと思います。制度や仕組みの変化が、現場の人の行動や選択をどう変えてしまうのか。自分の仕事の環境について考えるきっかけにもなる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
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