
クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回 (講談社学術文庫)
杉山正明
講談社 / 2010-08-10
この本について
歴史を読むとき、どうしても「いまの国家観」をそのまま過去に当てはめてしまって、モヤッとすることが多いんですよね。強固な国家、緻密な官僚制、はっきりした境界線。けれど、実際の歴史はもっと曖昧で、もっと人間くさいはずなのに…と、僕自身よく迷います。 『クビライの挑戦』は、そのモヤモヤを静かにひっくり返してくれました。たとえば、モンゴル帝国を「一枚岩の巨大国家」として見るのではなく、多元的でゆるやかな連邦のような存在としてとらえ直していく視点。あるいは、勝者側や漢文史料のバイアスがどれほど歴史像を歪めてきたかを、具体的な地域(杭州やアゼルバイジャンなど)の変化や、人々の生活のディテールから描き出すところ。さらに、ウォーラーステイン的な世界システム論に疑問を差し挟みながら、「ヨーロッパ中心で見ると見えなくなる事実」がどれだけ多いかに気づかされます。 読んでいると、歴史を“物語”としてではなく、“人間が積み上げた現実”として受け止める感覚が戻ってくるんですよね。これまで自分がどれだけ固定観念に縛られていたか、ちょっと恥ずかしくなるくらいです。 「国家ってそんなにきれいに形をしていないよね」と感じたことがある人、あるいは中国史・モンゴル史を知っているつもりで実は表層しか見ていなかったかもしれない…と心当たりがある人には、特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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