
三日間の幸福 (メディアワークス文庫)
三秋 縋
KADOKAWA / 2013-12-25
この本について
最近、毎日が同じことの繰り返しで、気付けば一週間が一瞬で過ぎていた…みたいな感覚になることが増えました。忙しいとか怠けているとかとは別に、「自分の時間をちゃんと生きてる実感が薄い」あの感じです。そんなときに思い出したのが『三日間の幸福』でした。死を前提にした物語ではあるんですが、そこで描かれるのはむしろ、生きている側の私たちが見えづらくしているものです。 この本が効いてくるのは、まず「毎日が淡々と過ぎる理由」を丁寧に言語化してくれるところです。一日一日を区別できなくなると時間が飛ぶように消えていく、という指摘は、まさにあの虚無感の正体を突いてきます。また、性格や本質といった言葉を信用しない登場人物の視点は、自分の内側を固いものとして扱いすぎていたことに気付かせてくれます。さらに、失敗を知ることと成功を知ることは別物だという冷静な言葉は、過去の後悔を「材料」ではなく「呪い」にしてしまいがちな人にとって、少し呼吸を整えてくれるはずです。 物語としての切なさはもちろんありますが、読むと、自分の毎日をもう少し丁寧に扱いたくなる。そんな変化をもたらしてくれる一冊だと思います。特に、「惰性で時間を使っている気がして苦しい人」には静かに刺さるはずです。
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