
死に至る病 (岩波文庫)
キェルケゴール and 斎藤 信治
講談社 / 2017-04-10
この本について
仕事でも人間関係でも、うまくいかない理由を「状況」や「他人」に置きたくなる時があります。でも本当に苦しいのは、その裏で自分の中に起きている感情の正体がつかめないまま、生き続けてしまうことなんじゃないか…と、この本を読むたびに思います。キェルケゴールの言う「絶望」は、何か劇的な出来事よりも、自分の内側で静かに進むずれのようなものとして描かれています。 抜粋に反応している人は多分、「自分が何に絶望しているのか分からないけど、何かがおかしい気がする」というあの感覚に心当たりがあるのだと思います。たとえば、恋人や仕事を失ったときに落ち込む理由が、実は対象ではなく“それを失った状態にある自分”への拒否だったり、自力でなんとか立て直そうとしても余計に苦しくなる仕組みが丁寧に説明されていて、読んでいるうちに「ああ、自分の苦しさってこういう構造なんだ」と少し輪郭が見えてきます。 この本が効くのは、絶望を“異常事態”としてではなく、“人が生きる過程で必ず通るもの”として捉え直せるところです。自分の弱さや限界に頭を下げることがなぜ難しいのか、そしてそれを避け続けるとどう迷子になるのかが、ゆっくりと言語化されていきます。読み進めて急に明るくなるわけじゃありませんが、静かに地図を渡される感じがあります。 自分の感情の底で何が起きているのか確かめたい人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの51%が集中しています。
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